生き方つながるコミュニティ こころーたす

イスラームと民主主義 
 米英軍によるイラク戦争開戦の理由であった大量破壊兵器が発見されず、フセイン政権と国際テロ組織・アルカイーダや米国同時多発テロとの関係も米国議会の独立調査委員会によって否定された。「何のための(イラク)戦争であったのか?」と欧州世論は問うている。  イタリア国営テレビ(RAI)は、「アルカイーダとフセイン旧政権に忠実だった分子たちとの関係は、イラク戦争後の状況の中でむしろ深まっていった」と分…
変わった9月11日後のイスラーム世界
 「イスラーム諸国の民主化を図ることがブッシュ米国大統領の政治的な夢」だと、最近、イタリアの権威紙『ラ・レプブリカ』が書いた。しかし、6月28日、バグダッドでの「閉ざされたイラクの独立式典」以降、同問題に割かれる欧米メディアの紙面や放映時間は急激に減ってきている感がある。アフガニスタン問題と同じようにイラク問題も、全面的解決への糸口が見えないまま、国際世論から忘れられ、それぞれの国の兵士が戦死…
テロ対策としてのイスラーム民主化
 イタリア国営テレビ放送(RAI)は、米国の『ニューヨーク・タイムズ』紙とCBS放送が実施した世論調査で、「イラク戦争という選択は過ちであり、人の生命と資源を浪費している」と考える米国市民が過半数(51%)に達した、と伝えた。  しかしながら、ブッシュ大統領は、「大量破壊兵器が発見されなくても、われわれのイラク介入は正当化されるべきものだ」と主張した。数年前までアルカイダの本営であったア…
イラクの民主主義と諸宗教の共存
 イラク国内で起きたキリスト教諸教会に対する一連のテロ攻撃を非難する世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事は、「すべての宗教共同体と民族が調和の内に共存できる民主社会に向けたイラク再建への努力」についてアピールした。また、シリア正教会のアンチオキア大主教であるイブラヒム師は、「アラブ世界、イラク国民自身、中東の内外、キリスト教内、キリスト教とイスラーム間」での「連帯」の重要性を強調…
主権のない国家
 ブッシュ米国大統領は、同国の2紙とのインタビューでイラク戦争開戦後、初めて「イラク戦後処理の状況判断に関して誤りがあった」と認め、そのニュースをイタリア諸紙が大きく報じた。  その誤りは「イラク戦争の勝利が早過ぎ、フセイン大統領に忠実な兵士たちが市内に身を隠してしまった」結果であり、「開戦の決断は正しかったと思う」と述べながら、ブッシュ大統領は「戦争は一人の大統領にとって最も困難な決断…
欧州のイスラームと民主主義
 ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は、一般謁見の席上、イスラエルやロシア、イラクで続発するテロ攻撃に言及し、イラクで12人のネパール人が処刑されたことを「野蛮な行為」と弾劾するとともに、「(人質となっている)2人のフランス人記者の早期解放」を訴えた。さらに、「9月1日は、ドイツ軍のポーランド侵攻により、第二次世界大戦欧州戦線が開戦した日。当時を追憶しながら、重大で広汎な緊張に包まれた今こそ、神の貴…
イタリア政府とイスラーム--共生への道
 500万人といわれるフランスのムスリムたちが、同国共和制のもとで生き、政府のテロ対策や2人の新聞記者の解放に向けた対策を支持する、と公表した。一方、100万人と推測されるイタリアのムスリムたちも伊政府との対話提案に応じ、対話の公式機関である「イタリア・イスラーム評議会」を設置する方向に動きつつある。伊政府のテロ対策の一環として、諸宗教対話の重要性を訴えてきたピザヌ内相は、「伊語を話し、伊語で…
イラクでの軍事活動の抑制を
 ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は、ローマ郊外・カステルガンドルフォ避暑宮殿での正午の祈りで、旧約聖書の詩篇を引用しながら、「人類を驚愕させながら勢力を拡大」し、「続発する人間生命に対する凶暴な攻撃(テロ)」が、「神よ、なぜ、そして、いつまで続くのですか?」と私たちに問わせる、と述べた。その前日、教皇は、「イラク、聖地、世界各地での戦争、テロや暴力は、もうたくさんだ」とアピールしていた。なぜなら…
武力のみでテロには勝てない
 ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は、ローマ郊外の避暑宮殿で正午の祈りの機会に、「世界平和を保障するためには、飢餓、極貧、富の不平等な分配を取り除かなければならない」と訴えた。教皇は、最近、ニューヨークの国連本部で開催された各国政府首脳会議とバチカンでのアフリカ諸国付教皇大使懇談会にも言及し、「正義と連帯を基盤とした国際共同体の発展を支持することが、世界に平和な未来を保障する」と述べた。また、「ア…
パキスタン大統領のバチカン訪問
 パキスタンのムシャラフ大統領がバチカンを訪問し、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世と懇談した。  米国のブッシュ大統領からイスラーム国の民主化の最初の試験台として選択され、援助されながらも、国内のイスラーム原理主義者たちの抵抗とテロ攻撃にさらされているムシャラフ大統領。教皇は、「この苦悩と暴力の時代に、大統領と国民が対話し、寛容の精神を滋養し続けていくよう奨励する」と同大統領に語った。また、…
民主主義を武力で強制するな
 イタリアのボローニャ市で、同国カトリック教会の「社会週間の集会」が開催され、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は、キリスト教の社会理念を基盤として「政治活動に積極的に参加するように」と信徒たちを促した。  同集会の最終日のスピーチでミラノ大司教のテッタマンツィ枢機卿は、「民主主義は暴力によって強制されてはならない」と主張した。なぜなら、「民主主義は(国民の)意識変革、教育、自由の体験、強い忍耐、…
ブッシュ大統領再選とバチカン、イラク情勢
 国連のアナン事務総長はブッシュ大統領、イラク暫定政府のアラウィ首相、イギリスのブレア首相に対し抗議書簡を送付したという。その内容は、米軍と暫定政府軍によるファルージャ攻撃が「イラク国民の怒りを増長」させ、「2005年1月に予定される選挙の実現を危うくする」というものだ。  アナン事務総長の抗議に対する第2次ブッシュ政権の反応は「ファルージャ攻撃に関しては、イラク暫定政権が決めることであ…
アラファト議長逝去の報にバチカンは
 フランス・パリの軍病院に入院していたパレスチナ自治政府のアラファト議長が逝去した。訃報を受けたローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は即刻、ソダノ国務省長官(枢機卿)名でパレスチナ評議会のファトゥーハ議長あてに弔電を送った。教皇スポークスマンのナバロ氏は、「パレスチナ国民を愛し、彼らを独立国家の建国に向けて導いたアラファト議長」は、「疑いなく、偉大なカリスマを持った指導者であった」との声明文を公表した…
あくことなき対話と折衝を
 イラク暫定政府からバチカン付新任大使として任命されたヤェルダ氏は、バチカンでローマ教皇ヨハネ・パウロ二世に信任状を提出し、教皇は新任大使に向かい「貧困、失業、暴力といった問題に対処しなければならない貴国の政府が、軍事力の行使を究極の手段としてのみ残し、紛糾や紛争をあくことなき対話と折衝によって解決していくために努力されるよう願う」と述べた。  イラクの「独裁政権から民主国家形成への困難…
戦争が正当化されない理由
 イタリアの全国紙『ラ・スタンパ』が『なぜ、もう戦争が正当化できないのか』と題する記事を掲載し、正当化できない7つの理由について説明している。同記事は「生命への権利」「基本的人権」「(戦争の)責任と結果の倫理」という視点から、グローバルな状況下で「責任倫理(例=テロと闘う責任)という理由による組織的な武力行使(戦争)が正当化され得るか?」と問い、理由を明示しながらこれを否定している。  …
米国主導の新世界秩序か?
 イタリアの権威紙『ラ・レプブリカ』は『ブッシュ大統領の米国はわれわれをどこに連れていくのか』と題する記事で、「米国が2等級の覇権国ではなく、孤高のスーパーパワーであるがゆえに、“米国はどこへ行くのか”ではなく、“米国はわれわれをどこに連れていくのか”と問うのが正しい」と主張している。同紙によれば、米国が「同国と協力する意思のある国を一つの旗の下に召集」し、「西洋諸国さえも米国の“友好国”と“…
武力への反省が行われた重要性
 モロッコの首都ラバトで、「(中東の)未来に関するフォーラム」が開催され、アラブ・アフリカ北岸22カ国と主要8カ国(G8)の外相、同地域5機関の責任者たちが参加した。  今年初頭、ブッシュ大統領は同フォーラムの開催を強く望み、その目的は、アフガニスタンからアフリカ北岸にわたる地域に属する諸国の「政治制度改革(民主化)と経済的発展の未来」について、外相レベルでその可能性を探ることだった。だ…
米国主導の世界はどこへ向かうのか
 1990年代に「イスラームの西洋に対する挑戦」を予言する著書『(イスラームとキリスト教)文明の衝突』を書いたサミュエル・ハンチントン教授。イスラームとキリスト教の穏健派、良識者や諸宗教対話の提唱者からは「文明と衝突は矛盾用語」と批判されたが、国際テロ組織のイデオロギーの根本的な一部分となり、欧米の保守派政治家の間には「キリスト教文明をもってイスラーム文明の挑戦に明確に対処していくべき」と主張…
共存を強制されるイスラエルとパレスチナ
 ヨルダン川西岸ラマラのパレスチナ解放機構(PLO)議長府で、議長選で62・5%の票を得て、初代アラファト議長に次ぐ第2代の議長に選出されたアッバス(マゼンとして知られている)新議長が就任宣誓を行い、就任スピーチで「われわれ両国民(イスラエル人とパレスチナ人)は共存を宣告(強要)されている」と述べた。同時に新議長は、「二隣接国家(の建国、共存)とイスラエル・パレスチナ紛争の包括的解決を最終目的…
米国新保守主義の世界政策
 家庭、国家、宗教(キリスト教)など個人的な性格の強い伝統価値を基盤とする米国の新保守主義(ネオコン)--。「9・11同時多発テロ」に脅かされた米国は、イスラーム原理主義と国際テロの標的となった自国の安全保障の確立を求めた。そして、市民たちもイスラーム原理主義や国際テロからの挑戦に応え、自身の心の安堵感を追求していくために米国旧来の伝統価値を再発見しようと努めている。これは、米国自身のアイデン…
神、国家と家庭--米大統領の就任演説
 イタリアの権威紙『ラ・レプブリカ』は、米国の首都ワシントンで挙行された第2期ブッシュ政権の開始を告げる就任式の演説で、同大統領が「神、アメリカと民主主義」を強調し、「演説中に5回も神に言及した」と大きく報道している。WCC(世界教会協議会)の国際通信社「ENI」も、『ブッシュ大統領が第2期政権を聖書とコーランを引用しながらスタートした』と題する記事を配信。この中で、「就任式が絶対的に宗教にあ…
イラク--民主国家か、神権国家か?
 イラク選挙管理委員会は、同国国民議会(定数275)選挙の確定結果を公表した。イスラーム・シーア派の政治連合「統一イラク連合」が140議席の単独過半数を占め、「クルド同盟」が75議席、アラウィ首相の「イラキヤ・リスト」が40議席、ヤワル大統領の「イラキユーン・リスト」は5議席にとどまった(『朝日新聞』電子版)。 この選挙結果を論評するイタリアの権威紙『ラ・スタンパ』は、『イラク、シーア派が過…
長い民主化プロセス
 イラクが民主国家となるか、それとも、イスラーム法(シャリア)を制定して神権国家となるのか?  10月までに新議会によって起草、決議され、国民投票にかけられる同国の新憲法が注目されている。イラク・キルククのサコ司教(カトリック)は教皇庁外国宣教会(PIME)の通信社であるアジアニュースとのインタビューで、「(議会選挙の結果によって生まれる)新イラク政府の活動にスンニ派も参加するだろうし、イラ…
イタリア人記者銃撃事件の波紋
 イラクで約1カ月にわたり拉致されていたイタリア左翼系日刊紙『マニフェスト』のジュリアナ・スグレナ記者が解放された。数度にわたりスグレナ記者の解放をアピールしていたローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の入院先であるカトリック総合病院・ジェメッリにも即刻、ニュースは伝達された。  しかし、この喜ばしいニュースは、悲しく、暗いものに変わっていった。帰国のため飛行場に向かっていたスグレナ記者を乗せた車が空…
ブッシュ米大統領がもし正しかったら…
 ライス米国務長官とブッシュ大統領が相次いで訪欧した。これにより、欧州世論とマスコミが、米国新保守主義(ネオコン)の長期的展望に立った国際テロ壊滅政策である中東のアラブ・イスラーム諸国の民主化問題に関心を示し始めた。イタリア紙『コリエレ・デラ・セラ』と『ラ・スタンパ』はそれぞれ、『中東に吹く風』『イスラームを巻き込み、揺り動かす波』と題する論評記事を掲載し、イラク戦争を開戦した「ブッシュ大統領…
非人間的な戦争
 イラクのバグダッドで、イラク戦争開戦以来、最大の惨事が起きた。イラクのイスラーム史上、第7代のシーア派のイマン(同教指導者)・アルカジミヤ師を追憶するための記念式典が市内のモスクで執り行われており、大群衆が詰めかけていた。そのモスクに向けて7発の迫撃弾が発砲され、群衆の間に「自爆テロ」だとの声が流れ、会場がパニック状況に陥った。逃げる群衆に押し潰されたり、会場に通ずるティグリス川の橋から転落…
戦争下の選挙
 アフガニスタン、エジプト、イラクと、イスラム圏での選挙や国民投票が続いている。そうした選挙、国民投票が、西洋的な民主主義を背景とするような状況の中で実行されているかどうかについては疑問がある。イラクでの新憲法草案に関する国民投票は、市民戦争に近い状況の中で待たれている。  バグダッドとその周辺で150人の犠牲者を出した自爆テロについて、伊権威紙の一つ『ラ・レプブリカ』は、「ザラカウィ(イラ…
世界でイラク反戦デモ
 世界の各地でイラク反戦と同国からの国際部隊の撤退を求める抗議デモが展開された。特に、米国の首都・ワシントンのホワイトハウス前には約10万人の市民が参集し、ベトナム戦争当時の反戦運動を彷彿とさせるような一大デモとなったとのことだ。イラクで息子を失い、ブッシュ大統領が最も恐れる平和運動者となったシンディー・シーハンさんが抗議デモの先頭に立ち、ベトナム戦争当時の反戦の神話であったジョーン・バエズも…
神の名による戦争 米大統領発言をめぐって
 イタリア権威紙『コリエレ・デラ・セラ』と『ラ・レプブリカ』が「神のお告げを受けてアフガニスタンとイラクに侵攻した」とする米国・ブッシュ大統領の発言を中面の囲み記事で報じている。  BBCがドキュメンタリーの中で伝えたとのことだが、両紙によれば、ブッシュ大統領の発言は、パレスチナ自治政府のアッバス議長と当時のシャート外相の前でのものだという。発言内容は、次のようなものだ。「神が私に告げられた…
イラクで影の薄い国連
 「神のお告げ」を受けて、アフガニスタンとイラクに武力介入したブッシュ米国大統領。だが、彼に対する風当たりは米国内のみならず、国際世論、特に欧州できついようだ。米国をイラクで孤立させてはならない、との欧州政界指導者たちの度重なる発言にもかかわらず、世論はブッシュ大統領の批判を続けている。  イタリア権威紙『ラ・レプブリカ』は『ブッシュ大統領のすべての顔面神経症--彼の危機感の兆候を見せる』と…
イタリア首相、イラク戦争に反対宣言
 ブッシュ米国大統領の“盟友”を標榜してきたイタリアのベルルスコーニ首相が、同大統領とのワシントンでの会見を2日後に控えた日、「私はイラク戦争の開戦に反対だった。開戦しないようにと、ブッシュ大統領の説得にも努めていた」と発言し、同国民と野党連合の指導者たちの意表を突いた。  「たとえ、国家を流血の独裁政権から救うためとはいえども、戦争が一国家を民主化するための手段であると信じたことはない。そ…
「民主主義」の証しなきイラクの民主化
 軍事介入あるいは人道援助という名目でイラクに侵攻した欧米諸国が、イラクに対して証した民主主義。そこに内包されているのは、国際法(国連)の無視、一民族(イラク)の自決権の無視、一国家の主権の蹂躙(米国の諜報員たちがイタリア国内で同国政府に通報しないままイスラーム・テロの容疑者を拉致し本国へ連れ帰った事件)、グアンタナモやバグダッド刑務所でのイスラーム囚人拷問事件、イラク戦争を正当化(特に、大量…
「攻撃的」な米国の姿勢
 イタリア紙『ラ・スタンパ』がブッシュ政権に関し、興味深い記事を掲載している。『“未確認飛行物体”(UFO)と闘うブッシュ大統領』と題する記事は、「カナダの元閣僚であったポール・ヘリヤー氏の話」として、ブッシュ大統領が「月を基地とする秘密戦争、銀河系間防衛(に関するプロジェクト)の準備を進めている」と伝えた。  報道自体は空想科学小説のような話だが、ここで問いたいのは、なぜ、ブッシュ政権の外…
米国をめぐる疑惑-イラク情勢と国際法
 米国のライス国務長官が最近、欧州諸国を歴訪した。同長官の欧州各国での首脳との懇談や記者会見の焦点は、米国中央情報局(CIA)によって実行されたと言われる、イラクのテロ容疑者たちの国外強制連行と尋問に関する疑惑であった。  連行のための特別機がイラクから仕立てられたが、このテロ容疑者たちを運ぶ“秘密機”の存在は、各国政府に通達されていなかった。テロ容疑者たちの尋問の場所には東西欧州諸国の米軍…
イスラームの改革は可能か
 イラクで実施された同国議会選挙の結果が公表された。イタリアの3主要日刊紙はそれぞれ「イラクのシーア派、過半数を獲得できず--シスターニ師に祝福されたグループが128議席、予想外のスンニー派が3番目、クルド人が2番手勢力」(「コリエレ」紙)、「シーア派の勝利だが過半数に足らず--アラウィ前首相の敗北」(「ラ・レプブリカ」紙)、「スンニー派の復帰--シーア派が選挙によって弱体化」(「ラ・スタンパ…
イスラームの侮辱とバチカンの声明文
 デンマークなど欧州各国のメディアがイスラームの預言者ムハンマド(マホメット)の姿を描く風刺漫画を一斉に掲載し、中東を中心とするイスラーム世界で激しい抗議運動が展開されている。事の重大さとイスラーム圏からの過激な反応に注目するイタリアの日刊各紙は、1面トップと他の紙面を割いて報じている。「イスラーム/風刺漫画が欧州を燃え上がらせる」(「コリエレ・デラ・セラ」紙)などの見出しが躍る。  バチカ…
諸宗教対話の殉教者
 欧州の各国紙がムハンマド(マホメット)の風刺漫画を掲載したことに対する激しい抗議運動が中東全域に拡がりつつあった時、トルコ北部の黒海に面するトレビソンダ市では、ローマ出身のカトリック宣教師サントーロ神父が教会内での祈りの最中に背後から発砲された2発の凶弾によって射殺された。  狙撃犯は、16歳になるムスリムの高校生で「アラーの神は偉大だ」と叫びながら発砲したという。逮捕後のトルコ警察の取り…
神の愛による憎悪の克服
 バチカンでの正午の祈りの機会にローマ教皇ベネディクト十六世は、スンニ派とシーア派の間で相互攻撃、報復が繰り返され、刻々と内戦に近づきつつあるイラク情勢と、ムスリムとキリスト教徒の間での殺戮、モスクや教会の焼き討ちといった暴行が続くナイジェリアの状況に言及し、「神への信仰の結果は破壊的な敵対心ではなく、共通善へ向けての兄弟愛と協調の精神」であり、「真の平和は神のみに由来する」とアピールした。 …
米国ネオコンによるイラク戦争への批判
 世界の、特にアラブ諸国の民主化や独裁政権の打倒を標榜する米国のネオコン(新保守主義)は、ブッシュ大統領によるイラクへの武力介入(イラク戦争)をも支持した。だが、最近、その新保守主義者たちの間からも、ブッシュ大統領のイラク政策に対する批判の声が上がり始めた、と報じられている。  イタリアのメディアがネオコンについて報道する時、往々にして引用される一人の国際政治学者がいる。ジョンズ・ホプキンス…
シナリオずれるブッシュ政策
 イタリア日刊紙「ラ・レプブリカ」が、パレスチナの最近の状況について「パレスチナ/無秩序の悪夢/ハマスの(総選挙での)大勝後の混沌」と報道している。  イスラエルが「テロ組織」と呼び、イスラエル国家(の存在)を認めないパレスチナの武装過激派グループが「民主的」な総選挙で大勝し、パレスチナ・イスラエル紛争の解決を更に困難なものとしている。イスラエル軍は、テロ容疑者の身柄引き渡しを求めて、パレス…
イラクの現状は内戦か
 イラク戦争の開戦から3年を機に、米国のブッシュ大統領は、「サダム・フセイン(元イラク大統領)を権力の座から追う決定は、困難だったが正しいものだった」「わが国の安全保障は、イラク国民の自由と直接に結びついており、完全な勝利を手にする以外、われわれに道はない」「われわれの戦略に、私は自信を持っている」(「朝日新聞」電子版)などと述べ、イラク戦争の開戦とその後の米国のイラク政策を正当化した。  …
民主主義とシャリアの間で
 キリスト教に改宗したために「背教者」として逮捕され、カブール(アフガニスタン)のイスラーム法廷からシャリア(イスラーム法)により死刑の宣告を受けることが確実とされていたラフマン氏が、イタリアの秘密諜報機関の仕立てた特別機でローマのチャンピーノ空港に到着した。ローマ教皇ベネディクト十六世が、同氏の恩赦をカルザイ大統領にアピールし、イタリア外務省も政治亡命実現のためにアフガニスタン政府との折衝を…
輸出できない民主主義
 イタリアの日刊各紙が最近、「なぜ、民主主義は輸出できないのか」(「コリエレ・デラ・セラ」)、「(イラク戦争開戦から)3年後のバグダッド/真の民主主義か?」(「ラ・スタンパ」)、「予防戦争/いつ、正当化されるのか」(「コリエレ」)、「予防攻撃だけでは十分ではない」(「ラ・スタンパ」)と題する記事を掲載している。  「コリエレ」紙の文化面記事は、イタリアの歴史学者、ルチャーノ・カンフォラ教授(…
いつ、予防戦争が正当化されるのか?
 イランが低濃縮ウランの製造に成功したと公表、これに対し、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、テヘランを訪問し、同国の政府高官に「ウラン濃縮の一時停止」を求めた。  エルバラダイ事務局長、イラン原子力庁のアガザデ長官、同最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長の会談と折衝について、イタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」は、「エルバラダイ事務局長による折衝が失敗」し、「米国がイランに…
拒否されたパレスチナの民主主義
 パレスチナ議会選挙で大勝した同自治区のパレスチナ解放を唱えるイスラーム主義組織のハマス。米国や欧州連合諸国はハマスに対して、イスラエル国家の存在を認め、武力闘争やテロを放棄するように求め、その要求が受け入れられないために、パレスチナに対する経済援助を打ち切るという制裁を実行している。民主的な選挙に大勝して成立した新政府が、中東や世界各地での民主化を標榜する欧米諸国によって拒否されているのだ。…
「文明の衝突よりもアイデアの対決を」
 イタリア権威紙「コリエレ・デラ・セラ」と「ラ・レプブリカ」は、イランのアフマディネジャド大統領がブッシュ米国大統領に次ぎ、今度はローマ教皇ベネディクト十六世あてに親書をしたためており、近日中に送付する意向だと報じている。  あるイラン紙が明らかにしたものだが、親書の内容は明らかにされていない。しかし、ブッシュ大統領あての親書の内容が宗教、精神性に富んでいたことから、教皇あての親書も宗教、特…
元国務長官の進言
 マデレーン・オルブライト元米国国務長官は、国際テロ組織「アルカイダ」の言い分を「理解することに努め、彼らの疑問に答えていかなければ、アイデアの闘いに勝てない」と主張する。  同氏は、パレスチナ解放を唱えるイスラーム主義組織「ハマス」が同自治区での民主議会選挙に大勝した例を挙げながら、「ハマスが大勝したのは、われわれ(欧米)が抽象的な民主主義のみを説き、大多数のパレスチナ人たちの生活にとって…
バチカンの「新政策」
 イスラームとの対話で「人間の尊厳性と基本的人権を優先させていく」ことがローマ教皇ベネディクト十六世のイスラーム新政策だと、イタリア権威紙『ラ・レプブリカ』が1面で報じた。ヨハネ・パウロ二世のイスラーム政策と違い、ベネディクト十六世は「神学的な討論やアッシジで執り行われたような諸宗教による世界平和の祈りよりも、社会問題を中心にイスラーム世界との対峙を展開していく意向だ」という。  これは、カ…
死刑制度に反対するカトリック公教要理
 バチカン諸宗教対話評議会議長のポール・プーパール枢機卿は、イラクのサダム・フセイン元大統領に対して死刑を宣告しないように、との声明を公表した。「人間に他者の生命と死を支配することは許されず、生命の創造主である神のみにそれができる。カトリック公教要理(教え)、カトリック教会そのものと教皇が、そう主張している」とプーパール枢機卿はアピールする。  バグダッドでのフセイン裁判も終わりに近づき、彼…
フセイン元大統領の死刑に反対する理由
 イタリア『コリエレ・デラ・セラ』紙上で、イラクのフセイン元大統領に対する死刑宣告に、フランコ・ベンツリーニ氏は4つの理由を挙げて反対する。  まず、バグダッドでのフセイン裁判が「安心して進行できる状況にあるかどうか疑わしい」と主張する。「毎日、忍び足で近寄る戦争状況」と「いまだに強い外国軍の存在」という状況下にあるバグダッドでのフセイン裁判が、「いくらイラク人によるイラク人の裁判であるとい…
人権や文化、暴力の拒否に基づく対話へ
 イスラームとの対話で、神学論争や共同の祈りよりも、人間生命の尊重、人権、文化、聖と暴力、社会の諸問題といったテーマを優先させていく新政策をローマ教皇ベネディクト十六世が検討しつつある、とイタリア紙「ラ・レプブリカ」は報道する。  昨年9月に教皇避暑宮殿のカステルガンドルフォで開催された会議に基調講演者として参加したイエズス会のサミル・カリル神父(教皇庁東洋研究所)は、「イスラームと他の諸宗教と…
イスラエル・レバノン紛争再激化を憂慮する教皇
 「レバノンが国連に助けを求める」「レバノン、停戦(の調停)を国連に要請」「(イスラエル軍による)市民の虐殺、国連にアピール」「ベイルート上空で交錯する戦火」--これらは、イタリア各紙に掲載された、イスラエル軍によるレバノン攻撃に関する1面トップ記事の見出しである。レバノンのイスラーム・シーア派民兵組織ヒズボラによるイスラエル人兵士の拉致とロケット弾攻撃に対して、兵士の釈放やヒズボラの武装解除…
「即時停戦」への逆説
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、全世界の「教会指導者、信徒、そして、すべての信仰者たち」に「中東和平祈願の日」の開催を訴え、実行した。教皇は、レバノンでの「即時停戦と人道援助の開始」などを訴え、特に「不当な攻撃を受ける無防備な市民たち」への配慮を強調する。  こうした教皇の中東和平アピールを支援していくために、バチカン国務省や正義と平和評議会も、次々と和平を求める声明を国際社会に向けて公表…
教皇がレバノンに特使派遣
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、エチェガライ枢機卿(バチカン・正義と平和評議会名誉議長)を教皇特使としてレバノンに派遣する、と公表した。同枢機卿は2001年のイラク戦争開戦前に、教皇特使としてバグダッドを訪問し、戦争回避のためにフセイン大統領と懇談した。バチカン記者室は「苦難を受けるレバノン国民とすべての苦しむ人々に教皇の連帯を表明し平和のために祈る」ことが目的だと説明した。  これに先立…
イタリアが展開する中東外交の「有用性」
 ベルギー・ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)の緊急外相理事会は、約7000人の地上部隊で編成される国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)を同国南部に派遣することで合意した。UNIFILはイタリアの最大枠3000人、フランスの2000人、スペインの最大枠1200人を中心に編成され、コフィ・アナン国連事務総長によりイスラーム諸国からの派兵も求められることになっている。  国連安保理の170…
教皇の「聖戦批判」の波紋
 ローマ教皇ベネディクト十六世は母国ドイツを訪問中、青年期に神学の教壇に立ったレーゲンスブルグ大学でスピーチした。この中で、14世紀末、トルコ・アンカラでのビザンチン皇帝(キリスト教)とペルシャ人学者(イスラーム)の「聖書」と「イスラーム聖典(コーラン)」に関する対話に言及。「信仰と(人間)理性」「宗教と暴力」という視点からイスラームの「ジハード(聖戦)」に触れ、「暴力による信仰の公布(聖戦)…
イスラームとの対話姿勢
 「ローマ(バチカン)を攻撃し、陥落させる」(イラクのテロ組織)、「教皇を尊敬する」(イランのアフマディネジャド大統領)という相反する反応を最後に、ローマ教皇ベネディクト十六世のドイツ・レーゲンスブルク大学での「ジハード(聖戦)発言」に端を発するイスラーム圏からの攻撃が下火になった。  アラブ圏のテレビ局「アルジャジーラ」で教皇発言を擁護したローマのベルトローニ市長は、高ぶり、緊張する国際・…
宗教対話は未来の死活問題
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、イタリア・ローマ郊外のカステルガンドルフォ避暑宮殿で、イスラーム圏22カ国のバチカン付大使および伊内務省との対話を推進する「イスラーム諮問評議会」の代表者16人と謁見した。  謁見にはイラン、シリア、イラク、レバノン、エジプト、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタンなど各国の大使や外交官が名を連ね、欧州最大のローマ・モスクのイマム、伊・イスラーム文化セン…
対話促進とテロの拒否
 ローマ教皇ベネディクト十六世はバチカンで、オーストリアのフィッシャー大統領と懇談した。バチカン記者室の声明文は、『欧州の文化、精神的アイデンティティー(キリスト教)』と『現代世界状況において特別な重要性を持つ、諸文化と諸宗教間対話、特に、キリスト教・イスラーム間における対話の促進と、あらゆる形でのテロの拒否』がテーマだと明らかにした。  欧州の政界においても、諸宗教対話が通常の政治用語とな…
教皇の「対話推進」策
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、バチカンでイタリアのプロディ首相と懇談し、生命、家庭の擁護と促進、生命科学、欧州統一プロセスとキリスト教の価値といった話題以外に「諸宗教、諸文化間の対話」や「中東情勢とレバノンでのイタリアの課題」についても意見を交わした。  バチカン国務省のベルトーネ長官は同日、イスラームとの対話で『人間尊厳性の促進と人権の擁護』を中心テーマとし、「ムスリムを人口の多数とす…
中東の「新しい分割線」
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、バチカンでの正午の祈りの機会に「ラマダン(イスラームの祈りと断食の期間)を終えた全世界のムスリムたちのために平穏と平和を願う親愛なるあいさつ」を送った。  また、イラク情勢にも言及し、平穏と平和とは反対に「ただ単に、シーア派、スンニ派、キリスト教徒であるという理由のために、多くの無実の人々が不安と残虐なる暴力に曝されているという重大なるイラク状況」について述…
中東に息をひそめる“暴力”
 イタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」が、「中東での戦略構図が再度、(イラク戦争によって)テヘランからベイルートにまたがる地域の“シーア派半月”の台頭とともに変わり、新しい(スンニ派とシーア派間の)セクト紛争が蘇ってきた」と記している。  「中東での“地震”は、米国などによるイラク侵攻とイラク戦争後にバグダッドに敷かれたシーア派政権に端を発し、同国でのシーア派、スンニ派とクルド人の間での市民戦…
中東諸国を変える各セクト間の紛争
 イラクでのシーア派、スンニ派、クルド人の間のようなセクト分裂が中東全域に波及し、新しい紛争を誘発することもありうる、と予測するイタリアの「コリエレ・デラ・セラ」紙。セクト間紛争は、過去の米国の同盟諸国に波及していく、とも報じている。  サウジアラビアの東部には多数のシーア派が存在し、米海軍の第5艦隊が寄港するバーレーンでは、少数派のスンニ派が多数派のシーア派を統治している。親米国であるクウ…
教皇のトルコ訪問と正教との和解
 トルコを訪問していたローマ教皇ベネディクト十六世は、同国で最も重要なイスラーム寺院であるイスタンブールのスルタン・アフメット・ジャーミー(通称・ブルーモスク)を訪問した。バチカン記者室から公表された当初のプログラムにはなかった訪問を、イタリア各紙の随行記者たちは翌日の1面で「モスクで祈る教皇/素足のベネディクト十六世をグラン・ムフティ(イスラーム法最高権威者)が迎え、“この訪問が平和を促進す…
教皇がトルコ訪問を回想
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、バチカンでの正午の祈りの機会に、トルコ訪問を振り返り、「忘れることのできない霊的、司牧(信者たちの指導)的体験だった」と述べた。また、同国訪問が「すべてのキリストの弟子たちの間の誠実なる協力と実りあるムスリムたちとの対話のために貢献していくように」とも希望した。  さらに、教皇はバチカンでの一般謁見でも、トルコ訪問を「三重の輪」という言葉を使って回想した。「…
死刑に反対するバチカン
 イラク・バグダッドの同国軍施設で、国際世論の反対を押し切って、サダム・フセイン元大統領の絞首刑が執行された。1982年にシーア派住民148人を虐殺した「人道に対する罪」を問われたものだ。この日はイスラームの「犠牲祭」の初日に当たる。執行後、マリキ首相は「イラクでの独裁の終焉」を強調し、「イラクの再建」に向けたスンニ派の積極的なる協力をも呼びかけた。  絞首刑の執行を米国のブッシュ大統領は「…
伊が国連で死刑廃止要請
 イラクの首都バグダッドで、フセイン元大統領の2人の側近、イブラヒム元ジュネーブ国連代表部大使とバンダル元革命裁判所長官の死刑が執行された。  世界の死刑制度廃止運動の主導国であるイタリアのスパタフォラ国連大使は、同国が国連安保理の非常任理事国となるとほとんど同時に、「同安保理議長に対し、国連総会で世界での死刑執行のモラトリアム(停止)について審議するように要請する動議を公式に通達した」と明…
フセイン元大統領の死刑執行にみる「勝者の論理」
 昨年にバグダッドで執行された、イラクのフセイン元大統領に対する絞首刑。その翌日、イタリアの「ラ・レプブリカ」紙は『犯罪ではなく悲劇的な(政治的)誤謬』と題する論説記事を1面に掲載し、フセイン元大統領の処刑が「巨大なる過ち」だった、と評した。一部の世論が、絞首刑の執行を犯罪と評していたことも、その背景にある。  処刑が「30年間にわたってフセイン政権によって抑圧されたイラクのシーア派」と「3年間…
東西文明間の同盟を求めて
 ローマ教皇ベネディクト十六世が昨年のトルコを訪問する直前、現地からは、次のような類のニュースのみが伝わっていた。   「愛国主義者たちが教皇に反対」「アルカイダが教皇を脅迫」「イスラーム急進派が広場で教皇に抗議」「“灰色の狼”(ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の狙撃犯、アガチャの属していた極右翼組織)が教皇を脅迫」「教皇に対する抗議のためにイスタンブールの聖ソフィア教会が占拠される」「イタリア…
「諸文明の同盟」と教皇
アナン前国連事務総長、スペインのサパテロ首相、トルコのエルドガン首相、20カ国余の大統領や首相経験者、南アフリカのツツ大司教(聖公会)、イランのハタミ氏やインドネシアのアラタス氏といった世界有識者たちからの支持を得て、諸文明間(特にイスラームと西洋文明間)の偏見と誤解を克服していくために、両文明の制度と社会を近づけようと努力する「諸文明の同盟」。昨年のローマ教皇ベネディクト十六世のトルコ訪…
「民主主義」と「自由」
 『民主主義』『自由を輸出する/失敗した神話』と題する2冊の本をイタリアで出版されている。著者はイタリア南部のバリ国立大学ギリシャ文学部のカンフォラ教授だ。バリ市は歴史的に、東方ビザンチン世界と西欧との接点としての役割を果たしてきたことで知られる。  カンフォラ教授は両著の中で「民主主義」と「自由」というイデオロギーを古代ギリシャの世界、英国の産業革命、ナポレオン帝政、フランス革命、第一次世…
一国の主権、一民族の自決権
 イタリア権威紙「ラ・レプブリカ」は、「ブッシュ大統領が2008年にはイラン攻撃を/ロンドン(「タイムズ」紙)からの警鐘」と報道している。「朝日新聞」電子版も「軍事行動の可能性も排除せず/対イランで米副大統領」と報じた。  イタリア最高権威紙「コリエレ・デラ・セラ」は「ブッシュ大統領/“同盟諸国よ、アフガニスタンで(来春にはタリバンに対する)新攻撃を開始するので、軍事力のさらなる増強を”」と…
「アフガン問題」の解決は国連和平会議で
 NATO(北大西洋条約機構)軍によるイスラーム主義勢力「タリバン」に対する空爆の続くアフガニスタン南部のカンダハルで、イタリアの権威紙「ラ・レプブリカ」のマストロジャコモ特派記者がタリバンによって拉致された。  タリバンは同記者解放の交換条件として、逮捕されている同勢力の報道担当者の釈放とイタリア軍約2000人のアフガニスタンからの撤退を要求している、と報道された。イタリア政府は「拉致者が…
「攻防戦」の行方
 イタリアのメディアが一斉に、アフガニスタンのカンダハルでイスラーム主義勢力「タリバン」によって拉致されたイタリア権威紙「ラ・レプブリカ」のマストロジャコモ特派記者と彼のアフガニスタン人通訳が解放された、と伝えた。運転手は、「スパイ容疑」で虐殺された。  解放には、イタリア人のストラダ氏によって創設され、アフガニスタン国民から強く信頼される人道援助機関「エマージェンシー」が調停に動いた。イタ…
潘国連事務総長のバグダッド初訪問
 潘基文(パンギムン)・国連事務総長は、バグダッドを初訪問し、記者会見で「イラクでの安全保障の促進に対する国連のさらなる努力」を強調した。そのとき、会見場から約50メートル離れた地点で迫撃弾が炸裂した。バグダッド市内で最も警戒の厳重な「緑の地区」にある会見場が揺れ、同席していたアルマリキ同国首相の肩の上に天井の壁土が粉となって落ち、潘事務総長も動揺して立ち上がった。  その模様を伝えるイタリアの…
自国の主権を求めるイラク
 米国議会の上院は、イラクやアフガニスタンを中心に海外に駐留する米軍の軍事費として1220億ドルを支出する法案を可決した。だが、その決議には米軍のイラクからの撤退期限を2008年3月31日とする、という条件も含まれた。先週、下院も同様の決議をし、米軍の撤退期限を8月末と定めていた。上下両院で、まだ同法の調整を行わなければならないが、ブッシュ大統領は「拒否権」を行使すると言明している。  大統領に…
相次ぐテロに変化する政策
 イラク・バグダッドの米国イラク政策の現地での心臓部で、最も警戒が厳重な「緑の地帯」にあるイラク議会の食堂で自爆テロが発生し、1人が死亡し、約20人の負傷者が出た。同日、市内の幹線道路上、スンニ派とシーア派の両居住区を結ぶティグリス川の橋の上で車爆弾が爆発し、少なくとも10人が死亡した。  この二つのテロは、米国とまだ生まれて間もなくひ弱なイラク民主主義に対する挑戦、そして、同国や中東全域で…
望まぬ戦争、国民への代償
 エジプトのシャルムエルシェイクで、イラクの安定化を目的とする外相級国際会議が開かれ、周辺諸国、国連安保理常任理事国や主要8カ国(G8)など23カ国と国際諸機関から外相、代表らが参加した。会議は、これから5年間に15億ドル規模のイラクに対する財政援助を内容とする「イラク復興協定」やイラク状況の安定化を図るために国際社会からの支援を強化することを盛り込んだ声明を採択して閉会した。  米英の単独…
カトリック司教たちの訴え
 イラクのカトリック司教たちは、エジプトのシャルムエルシェイクで開かれた外相級のイラク安定化のための国際会議の参加者と全世界のムスリムにあてて、イラクでの「暴力と人間理性にとっての異常状態に終止符を打つために力を合わせよう」とのメッセージを公表した。  「イラク国民は(イラク戦争開戦後)この4年間、数千人の無実の人々の死、イラクのあらゆる制度と国家レベルでのインフラの全体的破壊といった惨事を…
イラク戦争開戦4年後の明暗
 「(イラク戦争前に比べれば)自由にはなったが、平和は戦争で獲得できない」「(国民の間の)和解と経済発展、もう一方では社会制度の再建が必要とされる」とイラク・キルクーク市のサコ司教(カトリック)はイラク戦争から4年経った国内状況の明暗を説明する。ローマ教皇庁外国宣教会の国際通信社である「アジアニュース」との最近のインタビューでの発言だ。  「イラクの状況が同時に、改善され、悪化した」とも語る…
失われる「信教の自由」
 米国政府の「信教の自由に関する委員会」が、イラクでの信教の自由に関する状況を「要注意リスト」の中に入れた、とWCC(世界教会協議会)の国際通信社である「ENI」が伝えている。同委員会は、イラクにおける「宗教と信仰の自由に関する状況が警戒を要する段階に入るほど悪化している」と判断している。  バチカン放送やローマ教皇庁外国宣教会の国際通信社である「アジアニュース」の報道を通しても、イラクで信…
標的となるキリスト教
 イラクの北部で「カトリック教会と同共同体の国内における安全保障」を求める司教会議が開催される前日、バグダッドのドラ地区では聖心女子修道院(カトリック)がイスラーム過激派の武装民兵に襲撃、略奪、占拠され、軍事活動の拠点として使われようとしていた。  現地からの報道によれば、スンニ派の過激グループと同じように、(欧米の宗教である)キリスト教に対する攻撃を開始したシーア派の過激グループによる襲撃…
続くキリスト教徒の苦難
 ローマ教皇ベネディクト十六世は、バチカンで米国のブッシュ大統領と会見し、「危機的な状況に生きるイラクのキリスト教共同体」(バチカン公式声明文)の問題について話し合った。イタリア有力紙「コリエレ・デラ・セラ」は、「教皇が(イラクで)迫害されるキリスト教徒たちに対する擁護を(ブッシュ大統領に)要請」し、そのため「イラク政策に関するブッシュ政権とバチカンとの間の見解の相違があまり明確に表明されなか…
分断されるパレスチナ
 パレスチナ自治区ガザ地区でイスラーム過激派ハマスと穏健派ファタハによるパレスチナ人同士の激しい戦闘が展開されている。現地からの報道によれば、1週間に及ぶ紛争で双方の武装民兵と子供や老人、女性を含む一般市民の犠牲者は100人とも150人とも言われている。人権監視のための国際機関である「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」(HRW)は、双方の武装民兵が市民や捕虜を殺りくし、病院から患者、医師や看護師を…
分断--迫る食糧危機
 パレスチナ自治区が、過激派ハマスによって支配されるガザと穏健派ファタハに支配されるヨルダン川西岸とに事実上、分断されている。ファタハの指導者であるアッバス議長の政治イニシアチブを支持する欧米とイスラエル、ハマスを支持するイランやシリア、と中東状況も分裂の兆候を見せている。  米国、EU(欧州連合)とイスラエルは、アッバス議長がハマスを除外して任命し、ハマスが受け入れを拒否する非常事態内閣を…
中東全域を揺り動かすパレスチナの分断問題
 イスラーム過激派ハマスによるパレスチナ自治区ガザの武力制圧、アッバス自治区議長によるパレスチナ一致内閣の解散とハマス抜きの非常事態内閣の組閣命令とによって、パレスチナ自治区が事実上、ガザとヨルダン川西岸とに分断され、中東の政治地図が変貌を遂げた。  ハマスはアッバス議長の新政策を「クーデター」として受け入れを拒否。国連の中東特使であるウィリアムズ氏は、「中東における新しいシナリオが中東全域…
過激派ハマスとの平和的折衝の必要性
 国際社会とイスラエル、パレスチナ非常事態政府が、自治区のガザを武力制圧した過激派のハマスを包囲し、「孤立」させようとしている。「イスラエル国家の存在を認めない」ハマスは、「非常事態の宣言はアッバス議長によるクーデターだ」「アッバス議長に任命されたファヤド氏を首相とする非常事態内閣を認めない」「憲法違反だ」とする自身の立場をさらにかたくななものにしている。  イスラエル政府はヨルダン川西岸の…
ハマスとアルカイダの結束と警戒
 パレスチナ自治区のガザで過激派ハマスと穏健派ファタハとの闘争が続いていたのと同時期に、越境してエジプト領土内に避難した数千人のパレスチナ人が帰還できるようになった、とパレスチナ非常事態政府のアルマリキ情報相が公表した。イスラエル政府との合意により、国境の通過が再開されたことによるものだ。  同ニュースを伝えるバチカン放送は、ファイヤド首相の率いる同政府がエルサレムを首都とし、1967年の第…
和平へ向けた各国の動き
 米国のライス国務長官とゲイツ国防長官は、中東と湾岸諸国を訪問し、ブッシュ大統領が今秋に開催を予定している米国での中東和平国際会議と中東で影響力を強めるイランとの対峙政策、イラクの安全保障問題について各国の首脳と懇談した。  特に、米国政府がエジプト、イスラエル、サウジアラビア、湾岸の友好諸国に対して約束した総額430億ドルの軍事援助は、イランの封じ込め政策の一環と受け取られている。ライス長…
中東和平の「原則宣言」
   パレスチナ自治政府のアッバス議長とイスラエルのオルメルト首相が、米国で今秋に予定されている中東和平国際会議に向けて、パレスチナとイスラエル間の和平折衝に関する「原則宣言」の起草について交渉している、とローマ教皇庁外国宣教会の国際通信社である「アジアニュース」が報道した。  ブッシュ米国大統領が告知した同会議で議長を務める予定のライス国務長官が、両政府間のこのイニシアチブを「精力的にフォロ…
中東和平外交が活性化
 ブッシュ米国大統領が公表し、今秋に米国で予定されている中東和平国際会議を前に、欧米や中東の外交が活発になっている。バチカンも例外ではない。7回目の外国訪問(オーストリア)を直前に控えたローマ教皇ベネディクト十六世は、ローマ郊外のカステルガンドルフォ避暑宮殿でシリアのアルチャラー副大統領、イスラエルのペレス新大統領、サウジアラビアのアルファイザル外相と相次いで謁見し、中東諸問題について懇談した…
独自の決断できないハマス
 パレスチナ自治政府のアッバス議長は、議長と自治評議会の選挙法を改正する議長令の施行を公表した。  新選挙法は立候補の条件として、アッバス議長の率いるファタハが独占するパレスチナ解放機構(PLO)を全パレスチナ人の「唯一で正当なる代表」と認めることを挙げている。評議会の選挙に関しては、小選挙区制が廃止され、比例代表制のみが残された。評議会選挙で、小選挙区ではファタハがハマスに大差をつけられて…
ハマスとの対話訴えるイスラエル人作家たち
 ブッシュ米国大統領がイニシアチブを執り、同国で11月に予定されている中東和平国際会議に大きな期待が寄せられている。国連、米国、EU(欧州連合)とロシアで構成される中東和平4者会議は、米国での国際会議を成功させるための支援を公表。ライス米国務長官はイスラエル・パレスチナ紛争の解決に近づくために「逃してはならない機会」と述べた。  同国際会議には、アルジェリア、バーレーン、エジプト、ヨルダン、…
パレスチナ」割れる二者の意図
 イスラエルのオルメルト首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長は、エルサレムで懇談し、今秋に米国で予定されている中東和平国際会議に向け共同声明を起草していくことで合意した。  「アジアニュース」(ローマ教皇庁外国宣教会国際通信社)の報道によると、起草は二つの合同作業部会によって進められていくとのことだ。しかし、アッバス議長が、ガザを武力制圧しイスラエルとの和平を拒否する過激派ハマスへの影響力…
パレスチナ国家樹立の機熟す
 中東和平国際会議(11月、米国)準備のため、米国国務省のライス長官は、パレスチナ自治区でアッバス議長と懇談した。懇談後、「パレスチナ国家樹立の適当な時がきたと判断する。パレスチナ人とイスラエル人のみならず、中東と米国自身にとっても、2国家の共存という解決策が必要だと考える」と発言した。  パレスチナ独立国家の樹立へ向けてのプロセスと、それまでに解決されなければならない諸問題が和平会議に提出…
資源--リンクする和平の行方
 朝日新聞(電子版)は「イスラエルのバラク国防相が、パレスチナ自治区ガザから武装勢力が放つロケット弾攻撃に対抗して、電力と燃料の供給量を削減する計画を承認した」と報じている。「今後はロケット弾攻撃の程度に応じてガザ住民は停電下の生活を強いられる」とのことだ。イスラエルからの送電で「ガザの需要の約6割をまかなっている」からだ。ロケット弾攻撃は「イスラエル軍がガザや別のヨルダン川西岸自治区で続ける…
和平か、新たな戦争か
 イタリア紙「ラ・スタンパ」が、「イスラエル/平和への前提条件」と題する記事の中で、次のように書いている。  「(イスラエル・パレスチナ間の)新折衝と(米国の)アナポリスでの中東和平国際会議が失敗すれば、イスラエル・パレスチナ間の関係のみならず、中東全域にとって極めて危機的な時期が到来する。新しい諸戦争の未来の幕開けとなるからだ」  同紙は記事中、米国の民主党と共和党の両方に属する「権威あ…
サウジアラビア国王と教皇の歴史的会見
 サウジアラビアのアブドッラー国王は、初めてバチカンを訪問し、ローマ教皇ベネディクト十六世と会見した。国務省長官のタルチジオ・ベルトーネ枢機卿、外務局局長のドミニク・マンベルティ大司教とも懇談した。  アブドッラー国王は国家元首であるのみならず、世界のイスラーム界で最高権威のメッカとメディナのモスク(イスラーム寺院)管理者という肩書を有する宗教指導者でもある。「アラブの宗教、歴史と伝統を深く…
サウジ国王、ドイツ訪問 核問題の解決策を提唱
 アラブ圏のメディアが一斉に、バチカンでのサウジアラビアのアブドッラー国王とローマ教皇ベネディクト十六世との会見を「歴史的」であり「両指導者が世界平和と正義を実現するために諸宗教の役割を重視し、イスラエル・パレスチナ間の和平の必要性を強調した」と報じた、と「アジアニュース」(ローマ教皇庁外国宣教会国際通信社)が伝えている。  サウジアラビアの国営通信社「SPA」は、バチカンの公式声明にはない…
サウジ国王、ドイツ訪問 核問題の解決策を提唱
 アラブ圏のメディアが一斉に、バチカンでのサウジアラビアのアブドッラー国王とローマ教皇ベネディクト十六世との会見を「歴史的」であり「両指導者が世界平和と正義を実現するために諸宗教の役割を重視し、イスラエル・パレスチナ間の和平の必要性を強調した」と報じた、と「アジアニュース」(ローマ教皇庁外国宣教会国際通信社)が伝えている。  サウジアラビアの国営通信社「SPA」は、バチカンの公式声明にはない…